「痛みのある時でも走っていいですか?」という質問を時々いただきます。本当のところは難しいです。整形外科の先生に聞くと「痛みのある時は安静にしなさい」と必ず言います。だって痛みあるのに走ってもいいと言われて悪化したら医者は困るでしょ? 責任問題や訴訟にでもなったら大変です。だから安静、または走らない方がいいと言うことが多いです。しかし整体師は一概に安静にした方が良いとは言いません。症状によっては、「痛みのない程度に動かした方が良い」などと言います。ここには責任問題ということよりも、身体に対してどう考えているか、という根本的な考え方の違いがあると思います。
ちょっと話が逸れるかもしれませんが、腰や首の手術をされた方が私の整体院に時々来院されます。そのすべての人が訴えるのは「手術したのに痛みがある、しびれが残っている」ということです。整形外科の先生は「手術は成功した」と言わているそうです。それでも痛みが残っているからといって、少し違う個所の手術をされた方もあります。そう、二度目、三度目と手術する人も少なくないのです。その度に整形外科の先生は「手術は成功した」と言われます。でも本人は痛みやしびれが残っていると訴えますが、あとは「日にち薬だ」などと言って対応が軽くなっていくそうです。それ以上迫っていくようなら、また違う個所の手術を勧められ、逃げるようにして病院から退院してきた人もあります。
さてここで私は言いたいのは、「医師は命が最優先である」ということです。ドラマで見たことがありますが、ボクシングをしている人が怪我をして病院に運ばれ、「もうリングには立てないんですか?」「ボクシングより命が最優先ですから諦めてください。」という医師との会話シーン。また病気にかかった人が「一日でも長く生きることを最優先で考えてください。」と告知されるシーン。いずれの場合も、本人がやりたいことを諦めてでも生きていくことを優先させる場面はよく見ます。
ドラマでは感動的なシーンですが、実際に自分の身にかかってきた場合、好きなことを止めてまで長く生きることを選択できるでしょうか?食道がんにかかって手術するかどうか迷った末、一日でも長く生きるために手術した人があります。その後も何度か手術を繰り返し、その手術をしたことで食べることも飲むこともできなくなり、栄養を管から供給するようになりました。それは一日でも長く生きることを選択したからです。それ以来、本人の目の前で家族は食事をすることがなくなったそうです。隠れて食事をする日々。悲しいです。食道がんにかかった本人は、なによりも食べること、お酒を飲むことの大好きな人だっただけに、その好きなことを我慢させることがとても苦しかったそうです。数ヵ月後、亡くなりましたが、「こんな辛い思いをさせるんだったら、手術せずに好きなものを食べさせておく方が良かった。」と嘆かれていた言葉が私の心にズシンと響きました。
手術は絶対してはいけないとは私は言いませんが、もしあなたが手術を勧められた場合、しっかりご自身の症状を勉強することをお勧めします。自分の身体なんですから、自分が知らないまま選択するのはよい判断とはいえません。
最初の話に戻しますが、「痛みがある時でも走っていいか?」という問いかけに対して私が答えるのは「そんなにしてまで、なぜ走るのか?」ということを逆に質問します。ここからは会話の進み方次第で、最終的には本人に判断していただきます。好きなことを止めろと言われると辛いです。でも何らかの目標があってのことなら、何か方法があるかもしれません。練習方法を変えるとか、距離や回数を変えるとか、自転車や水泳を取り入れるとか、いろいろ選択肢はあります。例に出した生きるか死ぬかという選択の話には及びませんが、走るか走らないかの選択はそれに匹敵するくらいの気持ちだと思います。しかしどんな物事でも一緒ですが、何か壁にぶち当たった場合、「1か0か?」「白か黒か?」というハッキリした答えではなく、回避する方法がきっとあるはずです。突然のトラブルで戸惑わないためにも、日頃からいろんな想像力を働かせておくのも良いと思います。
こちらも参考にしてくださいね。
→痛みや違和感の改善方法
→病名を突きとめるより、早く治すための方法を考える
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私の著書です
![]() がんばらないで楽に長く走る [ 鮎川良 ] |
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私も走り始めた頃に痛みが発生した時は走っていいかどうかを尋ねていましたが、結局は痛みの度合いを感じているのは自分で、最後は自分で判断し自己責任を取らなければいけないと、診てもらっていくうちに学習しました。
ただ、痛めた部分に対しての原因や治していく手段はその都度確認させてもらっています。
他人任せでもなく、自分一人の判断でもなく、総合判断できるようになるのがベストですね(^。^)
ナイスです!
その通~り!